敬虔とひたむき
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耕している限り、無駄ではないのだ。
歪んだ畝でも穀物は実るからだ
(エファ カンプマン=カロッサ編/碓井信二訳
『ハンス・カロッサ全詩集』早稲田出版 P370)
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ドイツの詩人ハンス・カロッサの詩稿(複製)である。エファ カンプマン=カロッサ編/碓井信二訳『ハンス・カロッサ全詩集』(早稲田出版)に邦訳がある。
幾日もかけて畑耕せば 畝は数知れず
精魂こめて犂(すき)引けば すべては真っ直ぐと思ったが
今丘より見下ろせば なんと大半は
残念ながら歪み 真っ直ぐなのは稀だ
だが案ずるな 心配性な心よ! 馬鍬にかければすべて平らになろう
その刃は切れ味鋭く 時代の悪しき流れを防いでくれる!
天よ 柔らかくも未来をはらむ種の芽吹きを育て給え!
畝の曲直を越え いつか穀物が実りの穂を垂れんことを(P369)

同書には次のように由来も記されている。
初刷は、1951年のファクシミリによる私製版。
1962年版の『全集』に初めて印刷される。
成立は1945年。(中略)
《詩作ノート》には次のような草稿がある。
「……そこには陽光を浴びて畑が広々とひろがっている/
かつて私はそこで一筋一筋畝の並びを厳密に揃えた……/
耕していた時は、真っ直ぐだと思っていたが……/
今見ると、曲がりくねっているが、でも嬉しい/
耕している限り、無駄ではないのだ。
歪んだ畝でも穀物は実るからだ」(P370)
カロッサらしい敬虔さ、ひたむきさを感じさせる。用紙の下部には、カロッサの妻による自筆で「遅ればせながら、夫に代わり感謝申し上げます」といったメッセージが書き込まれている。

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耕している限り、無駄ではないのだ。
歪んだ畝でも穀物は実るからだ
(エファ カンプマン=カロッサ編/碓井信二訳
『ハンス・カロッサ全詩集』早稲田出版 P370)
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ドイツの詩人ハンス・カロッサの詩稿(複製)である。エファ カンプマン=カロッサ編/碓井信二訳『ハンス・カロッサ全詩集』(早稲田出版)に邦訳がある。
幾日もかけて畑耕せば 畝は数知れず
精魂こめて犂(すき)引けば すべては真っ直ぐと思ったが
今丘より見下ろせば なんと大半は
残念ながら歪み 真っ直ぐなのは稀だ
だが案ずるな 心配性な心よ! 馬鍬にかければすべて平らになろう
その刃は切れ味鋭く 時代の悪しき流れを防いでくれる!
天よ 柔らかくも未来をはらむ種の芽吹きを育て給え!
畝の曲直を越え いつか穀物が実りの穂を垂れんことを(P369)

同書には次のように由来も記されている。
初刷は、1951年のファクシミリによる私製版。
1962年版の『全集』に初めて印刷される。
成立は1945年。(中略)
《詩作ノート》には次のような草稿がある。
「……そこには陽光を浴びて畑が広々とひろがっている/
かつて私はそこで一筋一筋畝の並びを厳密に揃えた……/
耕していた時は、真っ直ぐだと思っていたが……/
今見ると、曲がりくねっているが、でも嬉しい/
耕している限り、無駄ではないのだ。
歪んだ畝でも穀物は実るからだ」(P370)
カロッサらしい敬虔さ、ひたむきさを感じさせる。用紙の下部には、カロッサの妻による自筆で「遅ればせながら、夫に代わり感謝申し上げます」といったメッセージが書き込まれている。

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