後輩詩人への助言

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詩は結局一切の虚飾を棄て
どれだけ自らの素直な地金が出せるかにある
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詩人の白鳥省吾(1890~1973)が、富山県出身の詩人・稗田菫平(ひえだ・きんぺい/1926~2014)に宛てて送った葉書である。稗田から詩集を贈られたことへの礼状だが、詩語についての寸感として白鳥の考え方が書かれている。

御著詩集「泉の嵐」御恵送多謝します。
早速拝見しました。
独特の詩風で「母のなかでの詠唱」のようなお作を
好もしいものに思いました。

詩語についての寸感ですが、
「瞑り」はたぶん「ネムリ」と読むのでせうが、
〇〇日夏君などの詩に散見する読み方ですが、
私には無理が感ぜられ
むしろ素直に「眠り」とする方を取ります。
詩は結局一切の虚飾を棄て
どれだけ自らの素直な地金が出せるかにあると
私も努力してゐます。

稗田の詩集『泉の嵐』は1956年に出版されている。当時、白鳥は66歳、稗田は30歳。先輩詩人の老婆心から、安易な道へ進まないようにくぎを刺したのだろうか。白鳥らしさが見られて興味深い。

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