人生を見つめて
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まこと夜の花火に私は見る
さまざまの人の希いと――
そのあとの空しい暗さを
しかあれ一瞬のいのちに
炸列する 火花 火花。
~~~~~~~~~~

詩人・竹内てるよの自筆詩稿である。「わたくし」は別の作品のために使用した原稿用紙の裏側に書かれ、「花火」はノートの切れ端に書かれている。平易な言葉、的確な比喩で、感情を表現する技術は確かだと思う。人間に対する優しさ、自分に対する厳しさと同時に、いじらしさや寂しさも感じられる。
【わたくし】
ひろいこの地上に
わたくしは何一つ持ってはゐない
くらしもまづしいし
いつもあまり丈夫ではない
長く美しい くろかみも持たない
併し 私は持ってゐる
心のあたたかい友達と 美しい大空
夕べ 夕べの星たちと つつましき地上の花
さいごに たった一つ
ささやかなる人生への愛と誠実
人は いつまで生きてはゐない
さびしき旅なる この一生に
それ以上の 何が要らうものぞ
※単行本収録のものとは異動がある
【花火】
くらい夜のそらに
せつなの命ひらく花火
遠い日の海に似て
一瞬あかるく燃え
空のかなたへ消えてゆく
そのせつなの真実に生きて
天上する夜の花
夏ごとに
新しい期待はうづいて
またこともなくそれは逝く
たまゆらの人間の夢
まこと夜の花火に私は見る
さまざまの人の希いと――
そのあとの空しい暗さを
しかあれ一瞬のいのちに
炸列する 火花 火花。

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まこと夜の花火に私は見る
さまざまの人の希いと――
そのあとの空しい暗さを
しかあれ一瞬のいのちに
炸列する 火花 火花。
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詩人・竹内てるよの自筆詩稿である。「わたくし」は別の作品のために使用した原稿用紙の裏側に書かれ、「花火」はノートの切れ端に書かれている。平易な言葉、的確な比喩で、感情を表現する技術は確かだと思う。人間に対する優しさ、自分に対する厳しさと同時に、いじらしさや寂しさも感じられる。
【わたくし】
ひろいこの地上に
わたくしは何一つ持ってはゐない
くらしもまづしいし
いつもあまり丈夫ではない
長く美しい くろかみも持たない
併し 私は持ってゐる
心のあたたかい友達と 美しい大空
夕べ 夕べの星たちと つつましき地上の花
さいごに たった一つ
ささやかなる人生への愛と誠実
人は いつまで生きてはゐない
さびしき旅なる この一生に
それ以上の 何が要らうものぞ
※単行本収録のものとは異動がある
【花火】
くらい夜のそらに
せつなの命ひらく花火
遠い日の海に似て
一瞬あかるく燃え
空のかなたへ消えてゆく
そのせつなの真実に生きて
天上する夜の花
夏ごとに
新しい期待はうづいて
またこともなくそれは逝く
たまゆらの人間の夢
まこと夜の花火に私は見る
さまざまの人の希いと――
そのあとの空しい暗さを
しかあれ一瞬のいのちに
炸列する 火花 火花。

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