死と再生の試練経て始まる本当の人生
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ゲーテのうたった死と再生の秘儀よ、
われら人間すべてにあたえられた試練よ
(「炎に飛び入る蛾」P117)
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『目にみえない世界のきざし』は、構造人類学者で信州大学名誉教授の北沢方邦(まさくに)氏の詩集である。若き日に詩人・片山敏彦に学び、約半世紀にわたり書きためた詩作を一冊にまとめた。四行詩(ルバイー)の試みと長編詩からなる。
ゲーテのうたった死と再生の秘儀とは、『西東詩集』に収録された「浄福的な憧れ」の一節である。
「『死ね、そして成れ!』――このことを
お前がまだ体得しないあいだは
お前は ただ暗い地上の
陰気な客にすぎないのだ」
(ゲーテ「浄福的な憧れ」片山敏彦訳)
目にみえる自己中心の世界にのみとらわれて生きる自分から、目にみえない自己を超えた世界と生きる自分へ、死と再生により本当の人生が始まる。
「われらは目にみえる世界を過信している。
たしかにこの世も美しい。だが目にみえない
隠された世界は、なお美しい。夕映えの空の
彼方からひびく、無音の楽に耳を傾けよう。」(「隠された世界」P150)
「闇のなかでまさぐり触れる生と死との境界、
それを知り、目にみえない世界のきざしを捕え、
それに賭け、なおも生きることが必要なのだ」(「現実としてのリアリティ」P167)
「死と再生の無限の循環のなかでおのれの運命を自覚し、行動することこそが、循環の宿命を離脱し、永遠の生をえるという真理」(「詩論」P177)
もっとも、頭で理解することはできても、体得するのは容易ではない。
「このことは誰にも言わず、ただ賢明な人たちにだけ語れ、
大衆はすぐに嘲るだろうから。
炎に飛び入って死ぬことを憧れる
まことに生きているものを私は頌(ほ)めたい。」
(ゲーテ「浄福的な憧れ」片山敏彦訳)
※ゲーテの詩の引用は、
みすず書房『片山敏彦著作集【3】ドイツ詩集』P44~45から
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ゲーテのうたった死と再生の秘儀よ、
われら人間すべてにあたえられた試練よ
(「炎に飛び入る蛾」P117)
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『目にみえない世界のきざし』は、構造人類学者で信州大学名誉教授の北沢方邦(まさくに)氏の詩集である。若き日に詩人・片山敏彦に学び、約半世紀にわたり書きためた詩作を一冊にまとめた。四行詩(ルバイー)の試みと長編詩からなる。
ゲーテのうたった死と再生の秘儀とは、『西東詩集』に収録された「浄福的な憧れ」の一節である。
「『死ね、そして成れ!』――このことを
お前がまだ体得しないあいだは
お前は ただ暗い地上の
陰気な客にすぎないのだ」
(ゲーテ「浄福的な憧れ」片山敏彦訳)
目にみえる自己中心の世界にのみとらわれて生きる自分から、目にみえない自己を超えた世界と生きる自分へ、死と再生により本当の人生が始まる。
「われらは目にみえる世界を過信している。
たしかにこの世も美しい。だが目にみえない
隠された世界は、なお美しい。夕映えの空の
彼方からひびく、無音の楽に耳を傾けよう。」(「隠された世界」P150)
「闇のなかでまさぐり触れる生と死との境界、
それを知り、目にみえない世界のきざしを捕え、
それに賭け、なおも生きることが必要なのだ」(「現実としてのリアリティ」P167)
「死と再生の無限の循環のなかでおのれの運命を自覚し、行動することこそが、循環の宿命を離脱し、永遠の生をえるという真理」(「詩論」P177)
もっとも、頭で理解することはできても、体得するのは容易ではない。
「このことは誰にも言わず、ただ賢明な人たちにだけ語れ、
大衆はすぐに嘲るだろうから。
炎に飛び入って死ぬことを憧れる
まことに生きているものを私は頌(ほ)めたい。」
(ゲーテ「浄福的な憧れ」片山敏彦訳)
※ゲーテの詩の引用は、
みすず書房『片山敏彦著作集【3】ドイツ詩集』P44~45から
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