126:木原孝一 自筆 詩稿 「懸崖」
- 2018/01/14
- 05:05

生と死の彼方で~~~~~~~~~~あなたは知っているかきしみながら廻っている夜の軌道のまわりに深さのはかれない崖があってそこからのぞくともう 生きものの姿は見えない~~~~~~~~~~詩人・木原孝一の自筆詩稿である。正確な執筆年代は不明だが、戦後、日本女性文化協会が出していた月刊誌「いずみ」編集部の書類挟みに挟んであった。永田書房『木原孝一全詩集』には収録されていない。生を謳歌するのでも、死に転落...
125:ツヴァイク 自筆コレクション目録
- 2018/01/12
- 06:59

稀代の蒐集家の記録~~~~~~~~~~コレクターが個性的であれば、そのコレクションもそれぞれの特性を持つが、凡庸であれば、ただのカタログと化してしまう。~~~~~~~~~~オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクは、作家として高名だっただけでなく、歴史上の偉人たちが遺した自筆原稿や遺品の蒐集家としても知られていた(こちらに関連記事)。本書『Ich kenne den Zauber der Schrift』(2005年/ウィーン...
124:ツヴァイク 自筆 書簡 自筆蒐集について
- 2018/01/12
- 05:54

蒐集のルール~~~~~~~~~~私は文学的な自筆原稿だけを集めております~~~~~~~~~~小説『アモク』、戯曲『エレミヤ』、歴史小説『マリー・アントワネット』『ジョゼフ・フーシェ』『権力とたたかう良心』『人類の星の時間』などの傑作で知られるオーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクの自筆署名が入った書簡である。1924年10月24日付。発信地はザルツブルクだが、宛先は不明。 残念ながら、私は劇...
123:ロマン・ロラン自筆書簡【15】再婚報告
- 2018/01/11
- 04:33

晩年の再婚~~~~~~~~~~あなたにお知らせしたいことがあります。驚かせてしまうでしょうが、私の再婚についてです~~~~~~~~~~フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。スイスのヴィルヌーヴで書かれたもので、1934年5月7日付。パリの Paul Mulon 博士に、自身の再婚について報告している。このときロランは68歳、再婚相手のマリー・クーダチェフは39歳(ロランの初婚についてはこちら)。マリー...
122:藤原定 自筆 詩稿 「老人の日に」
- 2018/01/10
- 06:43

生と死の連環~~~~~~~~~~生の大きな環はぼくらにけっして見えないにせよ土壌と大気 太陽と樹液をつらぬき流れているばかりではない死と腐敗 忘却と無化ぼくらがただ生の否定と見なすものをも深くへめぐって大らかに循環していることを~~~~~~~~~~詩人・藤原定の自筆詩稿である。生と死の連環を描いた本作は、藤原の恩師である片山敏彦や、フランスの作家ロマン・ロランが心を傾けていた「ユニテ」のビジョンを...
121:竹内てるよ 自筆 詩稿 「わたくし」「花火」
- 2018/01/10
- 05:33

人生を見つめて~~~~~~~~~~まこと夜の花火に私は見るさまざまの人の希いと――そのあとの空しい暗さをしかあれ一瞬のいのちに炸列する 火花 火花。~~~~~~~~~~詩人・竹内てるよの自筆詩稿である。「わたくし」は別の作品のために使用した原稿用紙の裏側に書かれ、「花火」はノートの切れ端に書かれている。平易な言葉、的確な比喩で、感情を表現する技術は確かだと思う。人間に対する優しさ、自分に対する厳しさ...